ユニファイドコミュニケーションとコンプライアンスレコーディング

2021/11/30
クラウドソリューション部 第二技術室

はじめに

前回のコラムでは、コロナ禍で世の中が変革し、コンタクトセンター業界でもテレワークの普及が進んでいること、そして、テレワーク時のレコーディングソリューション活用のポイントをご紹介しました。

今回は、ビデオ会議などでおなじみのクラウド型ユニファイドコミュニケーションツール(以下 UC)と、レコーディングソリューションのインテグレーションについてご紹介します。

進むクラウド型UCの導入

昨今の情勢もあり、皆様の周りでもMicrosoft Teams、Cisco Webex、Zoomなどクラウド型のUCをWeb会議やセミナーで利用する機会が増えたことと思います。ご存じの通り、UCは音声だけでなく、チャットやビデオ機能も使える便利なツールで、レコーディング、音声認識や翻訳までできるものもあります。

さて、コンタクトセンター業界でも従来の電話機基盤を備えたクラウド型UCの利用が始まっています。クラウド導入に慎重と言われていたコンタクトセンター業界ですが、ここ数年でクラウドをメインに据えた提案が増えてきたと感じます。その背景にはどんな事情があるのでしょうか?

1.テレワーク対応

まずはテレワーク対応のしやすさでしょう。働き方改革の波にコロナ禍が重なり、コンタクトセンターにおけるテレワーク導入の動きは急激に加速しました。クラウド型UCであれば、PCやスマートフォンなどの端末にアプリを入れてインターネットに接続するだけで、自宅や外出先など場所を問わず業務ができます。

2.チャネルの多様化

次にコスト面が挙げられます。コンタクトセンターで活用されるチャネルは、かつての電話オンリーからチャット、メール、SMSと多様化してきました。各チャネルに対応したシステムをオンプレで1つ1つ導入したセンターでは、運用コストが大きくなっています。例えばシステム更改のタイミングでオムニチャネル対応のクラウドプラットフォームにリプレイスすることで、コストを抑えようという考えがあるのかもしれません。

3.市場への浸透

最後に、登場からかなりの年数がたち、コンタクトセンター関連のクラウドサービスが豊富に出揃い市場での安定感などがでてきたことも、クラウドに舵を切るセンターが増えてきた要因の一つと言えるでしょう。

UCのレコーディングソリューションではダメなのか?

さて、本題のUCとレコーディングについてです。普段UCを利用されている皆様は、そもそもレコーディング機能が備わっているUCに、敢えてサードパーティーのシステムを組み合わせる必要があるのか?とお思いではないでしょうか。

これについては多くのケースで「不要」と言えます。多くのケースではUCのレコーディングで事足りるからです。

では、どういった場合にサードパーティーのレコーディングソリューションが必要になるかというと、それはコンプライアンスに対応した記録を取ろうとする場合です。このようにコンプライアンス準拠を目的に行われるレコーディングを、コンプライアンスレコーディングと呼びます。

コンプライアンスに準拠したレコーディング

コンタクトセンターを運営する企業は、法規制、GDPRやPCI-DSS(Payment Card Industry Data Security Standard(クレジットカード業界の情報セキュリティ基準))などの規制コンプライアンス、更に企業が独自で定めているポリシーに従って活動する必要があります。

例えば録音自体が義務付けられていることもあれば、顧客との会話や契約において、不正・不当な発言/取引がされていないといったことを証明するための記録が必要になることもあります。一方で、確認プロセス上必要な情報だが、記録してはいけない情報も存在し、そうした情報を確認している間は記録を停止、確認が取れたら再開という動きが必要になります。

こういった観点で考えると、単に記録ができればOKとはならないことがお分かりいただけると思います。UCの基本のレコーディング機能では、記録をする/しないの判断、開始/終了のタイミングがユーザに委ねられているケースがほとんどですが、上記のルールに沿うためには、1回1回の応対記録をオペレータ個人の判断で実施するというのは好ましくありません。更に、管理者は正確に記録が行われているかどうかをどうやって判断すればよいでしょうか。応対内容を一つ一つ確認するというのは現実的ではありません。

そこで、ルールベースで自動的(強制的)に記録を残せる仕組みを持つコンプライアンスレコーディングソリューションの出番になるのです。

三井情報のソリューション紹介

ここからはレコーディングソリューション+UCの構成例として、NICE社製のレコーディングソリューション+Microsoft Teamsの組み合わせをご紹介します。NICE社はマイクロソフトからソリューション認定を受け、正式なインテグレーションを提供しています。

NICE社製のコンプライアンスレコーディングは、特定のフローの間は録音しない、CRM画面の特定操作(データ入力など)を実施しているときは録音を停止するというような応対記録のタイミングを自動でコントロールします。

UCへの対応はというと、NICE社製品では音声、チャット、スクリーンといったUCで利用されるチャネルをワンプラットフォームで記録可能です。各種チャネルの応対記録を集約管理⇒管理コスト削減につなげることができます。もちろん前回のコラムで取り上げた暗号通信にも対応しています。

また、NICE社製品に限らずサードパーティーのレコーディングシステムを導入するメリットとして、従来のPBX(電話基盤)とUCの応対をワンプラットフォームで記録・管理できることが挙げられます。フロントオフィスはオンプレミスのPBX、バックオフィスはUCといったケースでもそれぞれの応対記録の集約管理が可能です。もちろんPBX・UCどちらの応対もコンプライアンスレコーディングが可能です。

 

 ■UCとサードパーティーの通話録音装置を使用した構成イメージ

まとめ

今回はコンタクトセンターに求められるコンプライアンスレコーディングについて説明しました。例としてNICE社製のレコーディングソリューション+Microsoft Teamsの構成を紹介しましたが、他にも様々な組み合わせが可能で、三井情報ではNICE社製のレコーディングソリューション+Webex Callingの組み合わせ等も評価検証しています。

テレワークの普及やUCツールの進化、そして顧客応対業務におけるコンプライアンスの強化など、コンタクトセンター業界を取り巻く環境は大きく変わってきています。三井情報は長年コンタクトセンターを支援してきた実績を生かし、今後もお客様のニーズに応える新たなソリューションの提供に取り組んでいきます。

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